日本側の専門手続きや法制度について紹介したいと思います

読者の皆様、はじめまして。今回からこの「Stellar Report」でコラムを書かせていただくことになりました(年3~4回程度)ライフメイツの蓑田と申します。私は現在日本(東京)で活動しており、海外(日本国外)在住の日本人や外国籍を取得した元日本人の方々向けに、日本での各種行政手続きや金融などの専門手続きに関する相談や手続きの代行サービスを提供しています。

皆様の多くは海外在住ではありますが、日本出身で以前は日本で居住、就労もされていたし、家族は日本在住している、などの理由でまだまだ日本側の手続きに関与する場面も少なくないと思います。日本を離れてからまだ間もない人は日本の手続きのことをご存じかと思いますが、既に長い期間が経過している人にとっては記憶もあまりなく、また法改正などもあり改めて手続き方法を調べる必要があります。しかしいざ現実に調べようとしてもどこ(機関、担当部門、電話番号)に問合せてよいのかわからない、直接日本に電話しようとしても時差でなかなか連絡しづらい、話中でつながらない/オペレータが出るまで延々待たされる、といった不便さを感じる場面が多々あります。一方インターネットで情報検索してみても新旧情報が氾濫し、どこまでが正しい情報なのかわからないといったことで苦労されているのではないでしょうか?

当社では2012年から主に日本の年金、永住帰国に関わる分野に絞って本サービスを提供し、お客様からの依頼で日本側で日々行政機関を訪問したり電話・メールで手続きや問合せをしています。その当社でさえ上記の様な不便さを感じることがありますので、海外在住者の苦労は推して知るべしであり、ぜひ皆様のお役に立てればということで対象分野を広げ今では様々な手続きに対してもお客様からの相談に応じるようにしています。そこでこの場を借りて皆様に日本の各種手続きや制度の概要、実際に手続きする際の注意事項など実務面のコツなどを紹介できればと思います。

今回は日本の行政手続きを行うに際の対応窓口(管轄機関)の種類について紹介します。たくさんあって本当にわかりづらいのですが、前もって知っておくことで皆様の苦労も軽減されると思います。年金申請、永住帰国、日本に住む親の介護・相続など今後日本の手続きを行なう際の参考にして下さい。

1.対象手続きの窓口がどの分野でどこの機関、団体が管轄しているかを確認する

米国も同様だと思いますが、行政(いわゆるお役所)についてはタテ割り型のしくみになっていて、各分野、国、地方自治体と管轄が分かれています。まずはインターネットなどでその手続きを管轄する役所や窓口が、どの分野(住民登録、国籍、戸籍、税金、医療、介護、年金、など)か、またどのレベルの管轄主体(国、都道府県、市区町村、その他(外郭団体、民間企業)かを意識すると良いでしょう。

2.主な手続きの窓口の例

  • 税金 〜 窓口:「税務署」」「市区町村役場」「主税局」など

所得税や相続税なら国(国税局管轄で全国に税務署が窓口)、住民税や固定資産税は市区町村(全国の市町村役場が窓口)、法人や個人の事業税は都道府県(都道府県管轄で全国にに主税局が窓口)というように役割分担されています。

  • 身分証明(戸籍、国籍)、住民登録(住民票)、医療・介護保険
    〜 窓口:「市区町村役場」

身分の証明関係として戸籍(国籍を含む)は本籍地住所のある市区町村の役所、住民票は以前居住していた市区町村の役所が窓口になります。また医療(健康)保険や介護保険などの社会保障、マイナンバーは住民票(住民登録)と連動しているため以前居住していた市区町村の役所が窓口になります。日本へ永住帰国する場合も住民登録は居住予定地の市区町村役場が窓口になります。尚役場の場合は手続きごとに部門が分かれているので、代表電話に連絡しオペレータに目的を伝えると電話転送してくれます。

  • 年金 〜 窓口:「日本年金機構(年金事務所)」「共済組合」など

公的年金(厚生年金、国民年金)は国(正確には厚生労働大臣から委任された外郭団体「日本年金機構」で、全国にある年金事務所が窓口)、共済年金も国(同様の外郭団体で、各地域の「共済組合」が窓口)となります。ただ国民年金の手続きについては、日本年金機構から市区町村役場に再委任されていて市区町村の役所の窓口でも手続きできます。また年金とつくものに民間の保険会社、郵便局、金融機関が提供する各種の積立年金商品がありますが、それらは各金融機関が窓口となります。

  • 不動産 〜 窓口:「税務署」「市区町村役場」「法務局」など

不動産の場合、売買や登記(購入時、相続時)の際に手続きが必要で、主に税金に関するもの、不動産名義(所有権)の登記や変更に関するものがあります。税金は不動産から収入(所得)がある場合(譲渡、賃貸、相続・贈与などのケース)や、登記時の登録免許税については管轄が国(全国の税務署が窓口)、不動産の所有にかかる税金(固定資産税など)は地方(市区町村の役所が窓口)になります。また不動産の登記(登録、変更)についての管轄は国(全国にある法務省(法務局)の支所、出張所が窓口)になります。実際の売買のお話は民間の不動産業者(不動産仲介業者や住宅メーカー)と行います。

  • l  在留資格 〜 窓口:出入国在留管理庁(旧入国管理局)

米国籍を取得された方が日本へ帰国、住民登録する際に必要となる在留資格の管轄は国の機関である法務省の出入国在留管理庁(各都道府県に窓口がある)になります。一見海外関連の手続きなので外務省や、戸籍とも関連するので地方(市区町村の役所)と混同しがちですが、外国人の日本での滞在(居住、就労)許可に関することは法務省になります。 

3.海外の各都市にある日本領事館の位置づけについて

日本は外務省の所管する在外公館として各国に総領事館又は領事館を設置しており、その目的(業務)は自国民の保護、査証の発行、証明書の発行、他国の情報収集、友好親善、などです。外務省ということで国の管轄なのですが、その国の在留邦人(日本人)を保護、サポートする目的で戸籍等公文書の取得や婚姻・死亡届などの一部行政手続きも受け付けています。受け付けるだけですので、必要書類を日本の管轄機関に郵送することになり時間がかかります。一昨年、昨年はCovid19による航空機の減便でこの郵送に時間がかかっていましたが、今は大分改善されているようです。

いかがでしょうか?各手続が分野別の他、管轄する役所・団体によっても切り分けられている点を知ると少し理解しやすくなるかと思います。

記事の無断転載を禁じます。

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当社(ライフメイツ)では海外在住者や日本への帰国者向けに日本の行政、法律、金融、暮らし、に関する情報、アドバイス、手続代行サービスを提供しています。お悩み、ご相談があれば当社へご連絡ください。(81-3-6411-8984、Skype/Line可、info@life-mates.jp、www.life-mates.jp まで

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