絶対に知らないと損する ー 帰国時の米国不動産処分の税務知識
CDH会計事務所
米国公認会計士
藤本 光 氏
クロスボーダーライフをサポートする
米国不動産で絶対に知っておいてもらいたい税務知識を5つ選んでわかりやすく説明します。
特に帰国をお考えの方には必須の知識になると思います。
1, 米国の生涯非課税枠の利用と不動産移譲
2023年の非課税枠は$12.92ミリオンと高額です。もし米国に残る子供などに不動産をギフトされたいのであれば、米国居住者(USDomicile)である期間に行えば、この枠を利用して無税で動かすことができます。日本に戻ってしまった場合は、日本の贈与税がかかってしまいます。
2, 不動産のStepped-up Basis(相続のほうが贈与より得)
1と関連して考えてください。贈与で資産を移譲した場合に、受取側が計上するコストは、贈与者のコストですが、相続で資産が移動した場合は、お亡くなりになられた日の市場価値になります。値上がりが期待できる資産の場合は、相続のほうが、受け取られる側にとりキャピタルゲインが出にくいことになります。前述の1と一緒に考慮してください。
3, 居住用の不動産のゲインの非課税措置利用
米国では、通常、一人で$250k、夫婦で$500kの非課税枠を利用できます。しかし、所有、居住期間などで2年間という制限があります。2年に満たない方は利用できません。販売時期を遅らせて、2年間の制限をクリアして、販売しましょう。
4, 家のImprovementのレシートを集める
修繕ではなく、Improvementであれば、購入価格に上乗せすることができます。長く住んでいると自身が支払ったImprovementのレシート、証拠を捨ててしまうことがあります。Improvementに使われた金額は、譲渡益を減らせますので、税務申告時に重要な資料になります。写真を撮り、リストを作成して、今から記録を残しておきましょう。
5, 居住していた証明を保管しておく
帰国してから、Closingが終了した場合には、日本の居住者として、米国住宅の譲渡益に対して、日本で課税が起きるリスクがあります。その際に居住用の非課税枠を利用するためには、申告時にその住宅に実際に居住していた証拠を求められることがあります。光熱費の請求書や、その他の書類で証明できるものを帰国前に準備しておきましょう。
CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。また、お読みになる時点ではすでにルールが変更されているリスクもあります。最新のルールは、下記よりお問合せください。また実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。
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