バックグラウンドチェック(信用調査)のタイミング

お客様に候補者をご紹介させていただき、ある程度面接が進むと、「バックグラウンドチェック(信用調査)をして欲しい」というご依頼を受けることがあります。犯罪歴がある人、あまりにも車の運転でたくさんチケットを切られている人、クレジット・ヒストリーが悪い人などを雇うことは避けたい。正式にオファーを出す前に調べたい。現在または過去の職場での評判を聞きたい。ついでに、現在もらっているお給料も調べたい、など様々な理由からバックグラウンドチェックを早く終わらせたいという雇用主さまがいらっしゃいます。

結論から申し上げると、バックグラウンドチェックを仕事のオファーを出す参考にするのはやめましょう。

バックグラウンドチェックをするためには、応募者がバックグラウンドチェックの同意書を記入し、個人情報を開示し、サインをする必要があります。同意書には、生年月日、住所、免許証の番号、ソーシャルセキュリティー番号、などを記入する必要があります。

そもそも、生年月日を開示させることは、例え他の理由で不採用にしたとしても、「年齢差別」と取られる恐れがあります。

また、以前にも書きましたが、私の住んでいるイリノイ州では、候補者に現在・過去のお給料を聞くことは禁止されています。本人に直接聞かなくても、第三者を通して現在・過去の雇用主にお給料を問い合わせることも禁止されています。当然それには、バックグラウンドチェックを行う会社を通して問い合わせることも入ります。(参考文献:“Employer Equal Pay Act Salary History Ban FAQ”, Illinois Department of Labor)

では、バックグラウンドチェックはいつ行えば良いのでしょうか?

ずばり、候補者にオファーを出してから、バックグラウンドチェックを行いましょう。その上でどうしても断りたい問題が出てきたらオファーを取り消せばよいのです。オファーはお互い「at-will(任意)」の関係であるので、いつでも取り消せます。もちろん、オファーレターには最初から「暫定的なオファー」と書いておきましょう。

バックグラウンドチェックだけではなく、例えば、米国で働くビザがなかった、など別の理由でオファーを取り消す必要があるかもしれません。余談ですが、「米国で働く資格がありますか?」と聞くのは構いませんが、永住権などのコピーをオファーを出す前に提出させることは同様の理由で避けましょう。公式の書類には出生地が書いてあり、それを開示することによって年齢差別だけではなく、「出身国差別」になる可能性もあります。

一番良いのは、最初からバックグラウンドのポリシーを作っておくことです。バックグラウンドチェックは、いつ、どのような目的で行うのか、ということを明確にしておきましょう。

犯罪歴などをバックグラウンドチェックを行う時点で開示させる、ということも一つの手です。その場合は、もし犯罪歴がない、と言ったにもかかわらず、犯罪歴があった場合には「虚偽の申告」として、オファーを取り消しやすくはなります。

ただ気を付けなくてはいけないのは、「犯罪で有罪になったことはありますか?」と聞くのは構いませんが、「逮捕された経験がありますか?」と聞くのはやめましょう。逮捕される確率は、白人よりも有色人種の方が多い米国では、逮捕歴を聞くことで「人種差別」と取られる可能性があります。

バックグラウンドチェックの結果、その人を雇わない、と決めた場合には、本人と面接の機会を設け、雇わないことになった理由を説明しましょう。その時に、必ず、バックグラウンドチェックの結果、バックグラウンドチェックを行った会社のインフォメーション、もし、結果に異議があるのであれば、どこに結果の修正を要求できるか、などの情報も与えましょう。

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