生涯現役

9月は敬老の日があったため、日本のニュースでは、100歳の薬剤師、95歳の医師など、「生涯現役」の方が日本のマスコミでたくさん取り上げられていましたね。

日本では、人口がどんどん減少していて、労働力が不足してきているため、また、年金も枯渇してきているので、政府が高齢者の就労を煽っているのもありますよね。高齢者がずっと働いてくれて、年金をもらわないでいてくれた方が、政府としては支出が減りますからね。(参考文献:「労働力不足、医療人材不足、社会保障費の増大――町かに迫る『2025年問題』とは」、日本財団ジャーナル、2023年5月24日)

アメリカでは「ハッピーリタイアメント」とか、「リタイアしたら何をやろうか」とか、リタイア(退職)を良い方向にとらえている人が多く、あまり「生涯現役」ということばは耳にしません。

もちろん、欧米でもバイデン大統領は「生涯現役」の勢いで仕事をしていますし、英国の故エリザベス女王は本当に「生涯現役」でした。しかし、ヨーロッパの王室も、ローマ法王も、日本の上皇さまもリタイアをする方が多くなってきています。

弊社に仕事を探しにこられる方も「生涯現役」を目指している日本人の方がたくさんいらっしゃいます。そして、今までエグゼクティブだった方は、同じようなポジションを探している方が多くいらっしゃいます。

以前にも書きましたが、米国は全く定年退職制度がないわけではありません。日本と逆で、エグゼクティブに限って定年退職制度があったりします。伝説の経営者と言われていた、GEのジャック・ウェルチ会長ですら、GEではエグゼクティブは65歳で定年退職の制度があったため、リタイアをしました。米国の企業でも、S&P 500(ダウ・ジョーンズの大型株500銘柄で構成されている株価指数)に入っている大企業の3分の1は重役(CEO)に定年退職制度を設けており、定年退職年齢の多くは65歳です。(”Should older CEOs be forced to retire?” by Walter Frick, Harvard Business Review、February 15, 2016)

飛行機のパイロットもコマーシャルパイロット(事業用操縦士)には定年退職制度があります。現在は、67歳まで延長はされましたが。(参考文献:”Aviation bill upping pilot retirement age to 67 passed by US House”, by David Shepardson, Reuters, July 21, 2023)

医師や会計士など専門職でなく、エグゼクティブで生涯現役でいたいのなら、組織で雇われることを考えずに、自分で事業を起こす、という手もあります。現在はインターネットの時代なので、インターネットを使って、仕事をするという手もあります。

年金をもらえるような年になってから、仕事をしたい、というのが金銭的な理由だけでないのであれば、他のことを通して「生涯現役」という人生もあるのではないでしょうか。社会と繋がっていたいのであれば、もう一度学生になる、お稽古事をする、ボランティアをする、などいろいろ生き方はあります。学校に行って、ボランティアで日本語を教えたりするのも、次世代の架け橋となる、素晴らしい社会貢献ですよね。

今までの経験を活かすことは、必ずしも同じような仕事をすることではありません。自分の経験をたとえカッコいいタイトルがなくても、若い世代に伝えることも立派な社会貢献です。

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