タトゥーやボディーピアスをドレスコードで禁止することは可能ですか?

雇用主さまは、ドレスコードを設けていることが多いと思います。高級レストランなどでは、お客様にも「男性はネクタイ着用、短パン禁止」など、ドレスコードがある場合もあります。

日本でも最近は変わってきましたが、米国でもひと昔前までは、タトゥーや鼻や頬などのボディーピアスはプロフェッショナルな仕事では敬遠されていました。しかし、最近、職場でも人々の服装はどんどんカジュアルになり、夏の間はポロシャツ着用を認めている職場も多いですし、タトゥーなどにも寛容になってきました。

しかし、雇用主さまで、特に営業職の場合には、トラディショナルな「男性はスーツ、ネクタイ着用、女性はスーツまたはドレスにパンプス」というような服装を求めている場合も多々あります。

雇用主さんは「プロフェッショナル」と思える服装を自由に職場のドレスコードとして決めることはできるのでしょうか?

タトゥーを禁止することは難しいですが、「お客様のところに行く場合にはタトゥーを見えないような服装で行くこと」と規定することは可能です。例えば、米国の軍隊は、タトゥーを入れてはいけない場所をドレスコードで決めてあります。(参考文献:“Tatoos in the workplace: What employers care about,” ASVAB

ただ、宗教上の理由などの理由でタトゥーをしている場合には露出を禁止することはできません。(参考文献:“Can employers require tattoos to be covered in the workplace?” by Amy McAndrew, October 19, 2029)

では、鼻や頬などにピアスをすることはどうでしょうか?やはりこの場合も、禁止することは難しいですが、職場ではみえないようにしろ、ということは可能です。最も、鼻や頬にあるピアスを「見えないようにする」ということは不可能なので、職場につけてくるな、と言うしかないですね。(参考文献:”May an employer ban tattoos and piercing in the workplace?” by Jill Gormley)

では、髪の毛を極端な色に染めるとか、男性が長髪にすることはどうでしょうか?アニメのキャラクターの影響もあってか、髪をブルーやピンクに染めている人もいます。このような色に染めるな、ということを言うことはできますが、気を付けなくてはいけないのは、白人の人が(もともと赤毛であるから)赤毛であるのを許すのに、別の人種の場合には許さない、というようなポリシーです。言うまでもなく、人種差別で訴えられる可能性もあります。(参考文献:”Policy banning extreme hair colors upheld” by Roger S. Achille, March 14, 2018)

男性の長髪は、長い間、「男性と女性のドレスコードは違う」という考えで、長髪禁止は許されていましたが、最近はカリフォルニア州などでは、男性だけの長髪禁止が法律違反となります。(参考文献:“Long hair, don’t care – why employers should reconsider their dress-code policies” January 12, 2022)

職場で「プロフェッショナル」とみなされる基準も時代と共に変わってきます。また、コロナ禍で、人々のプロフェッショナルの基準が変わってきたのも事実です。ドレスコードも見直すことをお勧めします。

見直しをしたら、まず、従業員に新しいドレスコードのドラフトを見せて、意見を聞きましょう。従業員の意見も取り入れ、合意を得たうえで新しいドレスコードを最終的に承認しましょう。

トランスジェンダー、宗教上の理由などでドレスコードに従わない場合には、個別相談に乗る、という文言を入れておくのも必要だと思います。

———————————————

記事の無断転載を禁じます。

弊社は人材紹介・派遣だけではなく、人事コンサルタントも行っています。ご質問などございましたら、武本粧紀子 (stakemoto@paschgo.com 847-995-1705) までお問い合わせ下さい。

Previous
Previous

IRSの歴史と職務内容を理解する

Next
Next

最後の税務申告の帰国前の準備