最後の税務申告の帰国前の準備

CDH会計事務所
プリンシパル
藤本 光 氏

最後の税務申告の帰国前の準備

2022年、あるいはそれ以降に帰国する予定の方も読者のなかにはいると思います。そんな方のために、今年の経験からぜひ考慮してもらいたい2点をご説明します。

1, 帰国する年の所得税額の米国銀行口座からの自動引き落とし

もし帰国されて、前年度の米国の連邦および州での税務申告書で支払いが生じた場合は、あなたはどうされますか? 小切手でお支払いされるのが普通ですね。しかし最近は、税務当局は納税者の銀行口座からの自動引き落としを最終支払いと、追徴金を避けるための締切日までの仮払いについて許可しています。この方法は、クロスボーダー生活者に取りまして非常に便利です。

まず日本から郵便で小切手を送る手間、つまり郵便局に行く手間が省けます。そして、郵便物の紛失のリスクに対して日米の郵便事情を心配する必要もない。さらに郵送コストも節約できます。そしていつIRSや、州に郵便が届くのかとう配達期間に関する無用な心配をすることもないわけです。

このような理由から、日本に帰国する前や、帰国されてから会計士との交信のなかでこちらを選択されて、ご自身の口座番号の情報を会計士に提供しておけば、いつ支払いが必要になっても心配する必要はないのです。もちろん支払いに必要な十分な残高は必要です。ぜひ帰国予定をお持ちの方は検討してみてください。特に別途コストが生じることはないと思います。

2, 所得税額のシミュレーション

以下の情報があれば、かなりの正確度で帰国時の米国税額を予測できます。1の自動引き落としとも関連しますが、最低の金額を米国の銀行口座に残して置くことができ、キャッシュフローを管理できます。

·       永住権放棄日までの労務所得

·       永住権放棄日までの投資所得

·       キャピタルゲインの短期・長期の区別

·       年金、ソーシャルセキュリティベネフィットの永住権の放棄日までの金額

·       上記の所得に対する源泉税額

これらの情報があれば、予想が出来ます。上記では投資所得は殆ど源泉されないので、投資所得が多額の方は、注意してください。おそらく予測作業は帰国される年の11月、あるいは12月にされると良いと思います。会計事務所の有料のサービスになるでしょうが、日本の新しい環境に適応するのに大変なので、税額の心配まで帰国されてからすることなく、予測があるから安心できるという利点があるわけです。

この2点をしっかり検討されて、そして帰国していただければ、税務申告を作成する際のお悩みがふたつほど減るはずです。

記事の無断転載を禁じます。

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CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。また、お読みになる時点ではすでにルールが変更されているリスクもあります。最新のルールは、下記のWebsiteよりお問合せください。また実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

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