選択制夫婦別姓と家族の多様性

日本は選択制夫婦別姓を認めることにまだ反対をしている人がいるようですね。「選択制」である以上、夫婦別姓にするかしないかは個人の問題であり、選択肢が増えるだけであるにもかかわらず、反対理由に「子供が親と強制的に別姓になる」「家族は同じ苗字であるべき」「子供の心情を考えろ」とかを反対理由にあげているようです。

反対されている方は、そもそも結婚は一度しかせず、離婚もせず、しかも結婚したら必ず子供ができる、という古い価値観の中にいるようです。

「将来生まれてくるかもしれない」子供が嫌がる「かもしれない」感情のために、家族が苗字の統一を強制されるのは、子供がいない夫婦からすれば理不尽です。

加えて、父親と離別・死別をして、その後、母親が再婚したために、継父の姓に強制的に改正されて、嫌な思いをした、という子供も一定数います。

まず、日本の2022年の離婚率は約35%で、夫婦3組に1組が離婚に終わっています。(参考文献:「令和4年度「離婚に関する統計」の概要-厚生労働省 令和4年8月24日)

離婚が増えれば、当然再婚も増え、2020年に結婚したカップルの4組に1組は再婚だったそうです。(参考文献:「ニッポンの再婚」最新データ紹介 ― 2020年婚姻統計分析結果から ― ニッセイ基礎研究所 2020年5月23日)

再婚同士、連れ子を連れて結婚した新しい家族が、子供も含めて今まで慣れ親しんだ苗字を使うと、家族の一体感が薄れるから、片方の家族に改正を強制するのはある意味、その家族に対する内政干渉です。結婚によって夫または妻が改姓を強制されること、将来生まれてくる子供が、片方または両方の親と別の姓になることを防ぐために家族の姓を統一されることも然りです。

もっと言えば、事実婚の夫婦・家族は苗字が統一されていないために家族としての一体感が薄れる、というのは、他人が考えたことであり、実際には本人しかわかりませんよね?

米国では、基本的に選択制夫婦別姓は認められており、子供の苗字(Last Name)もどちらかの親と同じにする必要はありませんし、兄弟姉妹に別の苗字(Last Name)を付けることも可能です。

因みに、米国での2023年の初婚カップルの離婚率は35%-50%、再婚の場合には60-70%とのことです。(参考文献:”Exploring the latest trends in US divorce date: 2023 insights,” Klein Law Group)

良い、悪いは別として、伝統的な一度しか結婚しない家庭もあるし、子連れ再婚もありますし、養子、里子も普通にあります。片親世帯(シングル・ペアレント・ファミリー)も一定数あります。海外からや別の人種から養子や里子を迎える家族もいるし、未婚の人が養子・里子を迎える場合もあります。もちろん同性カップルが養子・里子を迎えるケースもあります。

家族の中の苗字(Last Name)も含め、家族内でも多様化が進んでいるのです。

もちろん、雇用主にとっては、従業員に与えるベネフィットをどこまでの家族に認めるか、という線引きをする必要がでてきます。

そもそも、産休は、本人のお産の時に限らず、養子・里子を迎える場合にも、男女ともに使用可能、ということは、連邦法のFamily and Medical Leave Act (家族医療休暇法)で保証されています。(参考文献:”Family and Medical Leave Act“ US Department of Labor)

雇用主さんが従業員に与えているベネフィットである、健康保険も「家族」として、どこまで雇用主さんが提供する健康保険に加入できるのかをキチンと決めておかれることをお勧めします。

法律上の配偶者だけでなく、住所を同じくする事実婚の配偶者も加入できるのか(州によっては、法律上も可能な場合もあります)、別居している実子、同居している継子(ステップ・チャイルド)をどう扱うのか、など基準を決めましょう。

有給忌引きをベネフィットとして提供する場合にも、線引きをすることをお勧めします。離婚・再婚が多い米国では、以前同居していた、離婚した配偶者の連れ子、離婚した配偶者の親、など、皆に親類として有給忌引きなどを認めたらものすごい人数になる可能性があります。

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