米国での履歴書と雇用プロセスに関して考慮すべき非常に重要な事項

アメリカには日本のように高校・大学などを卒業された、いわゆる新卒の方々が卒業と同時に4月1日から一斉に働き始める、という習慣はありません。また、仕事を探す際に提出する履歴書(レジュメ)も決まった書式はありません。

日本では、履歴書の種類はいくつかはあるものの、基本的にはJAS規格(日本産業企画)で決まっている履歴書を使用します。(参考文献:「履歴書の種類と自分にあった履歴書の選び方」、ボムス、2020年8月26日)

もう30年も前になりますが、私が米国で大学院を卒業することになった時に、米国で仕事を探そう、と一念発起して、私を雇ってくれそうな会社さんに採用についての問い合わせを始めました。

ほとんどの会社さんに言われたことは、「卒業して、バケーションを取って、明日から働ける状態になったらまた連絡してください」ということでした。

アメリカでは、大学を卒業する時期は、5月-6月が一番主流ではありますが、卒業単位が足りない、とか資格取得をしたいとか様々な理由で8月、12月などに卒業する人もいます。

日本の新卒の採用のように、毎年新しい社員が入社してきて、必要なポジションの為に雇うのではなく、取り合えず新卒を雇い、社内で教育をする、という場合には、履歴書はどのように書いても大して大事ではないのかもしれません。しかし、アメリカのように、予めポジションがあり、そのポジションの為に人を雇う、となると、その人がその仕事を遂行できるか、ということが一番大事になってきます。仕事を得るためには、先ず書類選考(レジュメの選考)を通る必要があります。

JIS規格の日本の履歴書にある規定項目で、米国の履歴書に使用しない項目は以下の通りです。(仕事に応募する人が使いたいのであれば勝手ですが、雇用主は強制することはできません。)

写真を添付すること ― 写真を見れば、人種、性別、年齢などがわかってしまいます。人種、性別、年齢差別になる可能性があります。

生年月日 - 年齢差別と取られる可能性があります。

通勤時間 ― 日本では、交通費を雇用主が負担する必要があるため、通勤時間を聞く必要があるのかもしれませんが、通勤時間が長くても、短くても、本人が納得しているのであれば、雇用主の問題ではありません。どこに住むかは本人の自由です。

配偶者の有無 ― 結婚差別になる可能性があります。

配偶者の扶養義務 ― 米国では家族扶養手当を支払う必要がありません。そのため、このようなことを聞く必要もありませんし、聞けば結婚ステータスに対する差別になる可能性があります。

では、逆にアメリカで仕事を探したい時には、レジュメに何をかけば良いのでしょうか?

氏名、住所、電話番号、メールアドレスは最初に入れましょう。ただ、プライバシー観念が高まってきたこともあり、住所を入れたくなければ、居住地の州と市町村の名前だけ入れて、家の詳しい住所を書かなくても問題はありません。

職歴・学歴は協調したいところから書き始めましょう。新卒であるのなら、最初に学歴を書きましょう。中途採用であるのなら、職歴から書きましょう。書くときには、最初に直近のものを書き、さかのぼって古い経歴を書いていきましょう。

学歴には、大学名、卒業学部、学士号・修士号、大学の所在地などを書きます。大学をでている場合には、卒業した高校名は必要ありません。また、無理に大学卒業年を書く必要もありません。雇用主さんは、高校卒業年を聞かないことをお勧めします。高校卒業年を聞けば、求職者の年齢がわかってしまいます。また、高校所在地を聞けば、求職者の出身地が推測しやすくなります。下手をすると、出身地差別をしている、と思われる可能性もあります。

職歴については、日本の履歴書と経歴書がまざったもの、と考えましょう。勤務先、所在地、勤務開始から退職(年と月)までの期間、そこでのポジション、だけでは不十分です。その勤務先で、何をやっていたのか、2-5行で完結に仕事内容を書きましょう。

スキルはまとめて書きましょう。アメリカでは英語ができることは当たり前なので、英検1級とか、TOEFL900点とかよりも、むしろ日本語の方がスキルになります。

書きたくない経歴とか、応募する仕事と直接関係のない経歴は書かなくても構いません。例えば、一般事務の仕事に応募する時に、オーケストラでバイオリンを弾いていた、という経歴を書いても、大して役には立ちません。

インターネットでレジュメを編集するプログラムもありますが、注意が必要です。なぜなら、立派すぎて、簡潔ではない場合が多いからです。

採用担当の方が、仕事に応募してきた人のレジュメの審査に使う時間は「6-7秒」という調査もあります。(参考文献:”How long do hiring manager look at a resume?”, Indeed Editorial Team, February 13, 2024)

6-7秒で、次のステップに進むべく、選んでもらうようなレジュメを書きましょう。

長さは長くても2ページにまとめましょう。長すぎると読んでもらえません。

いくら書き方は自由と言っても、個性的すぎる色、様式、模様などは避けましょう。採用担当がその色や様式が嫌い、という可能性もあります。

レジュメ編集プログラムなどに頼りすぎず、「自分のレジュメは自分でしか書けない」と認識し、簡潔に仕上げましょう。

最後に、何度も見直しましょう。大学の名前や、メールアドレスなどタイプのミスがある場合もあります。

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