米国の外国企業を標的として続く商標詐欺

Steven M. Shape & Associates
米国特許弁護士
スティーブン・シェイプ 

2019年8月に改正された米国商標規則により、外国に定住するすべての出願者に、すべての商標手続きにおいて米国で認可された弁護士による代理が必要となりました。意図せずこの改正は、米国内に子会社や他の法人を持つ外国企業に対する商標詐欺の大幅な増加を引き起こすこととなりました。

まず詐欺師は、州務長官事務所などの公開情報を利用して、ターゲットとなる企業を探します。情報を入手後、詐欺師はその企業の幹部、その多くは外国人の人物に勧誘書を送ります。

ほとんどの勧誘書は、知的財産法律事務所からのものであるとされ、ターゲットの企業と同じ名称を使用したいとする別の企業や個人から商標出願を依頼されたとしています。

以下は、詐欺師が使用する偽の会社名の例です:

  • World Trademark Register

  • Trademarks Compliance Center

  • Patent and Trademark Office

  • Patent and Trademark Bureau

  • Trademark Compliance Office

勧誘書は、ターゲットとなっている企業に対し、48〜72時間以内に回答しない場合、同じ会社名を使用したいとする第三者の商標出願を進めると通知します。 

また詐欺師は、回答しなければ当該の権利を失う可能性があると主張し、商標権侵害訴訟が起こされる可能性も示唆します。これは、ターゲットとなる企業や個人を脅し、早急に対応させるための手法です。同時に詐欺師は、さらなる問題や紛争を避けるために、自分たちがターゲット企業の商標出願を手伝うことができると提案します。

メールには通常、非常に専門的に見える署名が含まれており、時には、関心を引きつけるために偽のクライアントの推薦文を掲載したウェブサイトが記載されていることもあります。

この信頼感のある外見は、ターゲット企業に勧誘書が正当なものであると信じ込ませるためのものです。しかし深く調査すれば、すべてが虚偽であり、法律事務所は単なる偽会社であることがすぐにわかります。 

このような誤りと欺瞞に満ちた勧誘書を無視し、警戒することが非常に重要です。正当な弁護士や法律事務所が、競合する商標出願を行うために雇われたと連絡してくることは決してありません。さらに、権利の喪失を含む緊急性や脅威は、これらの詐欺でよく使われる手口です。

このような勧誘書を受け取った場合、すぐに返信せず必ず知的財産弁護士に連絡することが重要です。返信すると、詐欺師からの圧力がさらに強まる可能性があります。

米国特許商標庁は、このような詐欺について警告するために情報を提供しています。また商標庁は、詐欺師の最新リストも提供し、商標所有者がこのような欺瞞的な勧誘を受けた時に確認できるようにしています。

勧誘に関して疑問をお持ちになった場合、あるいはこうした詐欺の被害に遭ったと思われる場合は、直ちに知的財産弁護士に連絡してください。このような状況でのベストプラクティスは、いかなる勧誘にも応じず、相手に金銭を一切支払わずに、まず弁護士のアドバイスを求めることです。

以上

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シェイプ氏は、数十年にわたり米国と日本で、多くの中小企業や有名な日本企業を対象に、知的財産および関連するビジネスニーズをサポートしてきました。

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