「若い家族介護者の困難な生活と職場での介護に対する理解」

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日本で、子供が親の介護をする、「ヤングケアラー」(Young Caregivers)が問題になっている、という話を聞きました。

日本だけではなく、アメリカにも同じ社会問題があります。

8歳から18歳の、140万人もの子供たちがヤングケアラーとして、親、兄弟、親類の介護にあたっています。

そのうち400,000人は8歳から11歳の子供であり、一口に4万人といっても、その人数は、ニューヨーク、シカゴ、ワシントンDCのすべての学校の生徒の3年生から12年生(日本の高校3年生)の生徒数に匹敵するそうです。

特に、マイノリティーで、シングルの親で、低収入家庭でヤングケアラーの問題が発生しています。子供たちの学業や学校生活の妨げになっていることは言うまでもありません。

(参考文献:”Young Caregivers”, American Psychological Association, 2010

ヤングケアラーの問題は、子供は社会で育てる、という観点からも、社会で解決していくべき問題です。

では、大人の場合には問題はないのでしょうか? 米国では近年、生涯独身の方、離婚する人、子供のいない人などがどんどん増えています。もちろん、子供がいてもヤングケアラーの問題ではありませんが、子供をあてにすることはできません。自分が高齢になった時の介護、高齢にならなくても病気やケガで介護が必要になった時にはどうすれば良いのでしょうか?従業員の人が介護が必要となったり、その人が介護要員になった場合には経営者はどうすれば良いのでしょうか?

2021年9月現在、米国では6人に一人の仕事を持っている人が親類・友人の介護にかかわっている、という調査があります。介護にかかわっている人はどんどん増えているそうです。
(参考文献:”Employers Benefit by Supporting Elder Care Support”, Stephen Miller, SHRM, September 10, 2021)

従業員に小学生以下の子供がいる、など、いわゆる「子育て中」の従業員に対する支援は従業員規則があるかないかにかかわらず、案外理解を得やすいのですが、大人の介護を引き受けている場合には、なかなか同僚や経営者の理解を得られなくのが現状のようです。

そのため、優秀な従業員が仕事を続けることができなくなって仕事を辞めざるを得ない、という事態が起こる可能性がでてきます。

雇用主としては、どうやって優秀な従業員が介護で離職することを防ぐことができるでしょうか?

先ず第一、従業員が介護にあたっているかどうかを把握することが難しいので、職場でなんでも話せる雰囲気をつくることが大事である、と言わざるを得ません。プライバシーを重視するアメリカでは、個人的なことを職場で話したがらない人も多いとは思いますが、職場全体が家庭的でなんでも相談できる雰囲気であれば、本人も周りの人に相談しやすいと思います。

介護にあたっている従業員がいる場合には、まず、家族介護法(FMLA)で介護に対する休みをカバーすることができることを説明してあげましょう。FMLAでは、基本的に一年に12週間まで家族の介護にあたる休暇を取得できることになっています。休暇はまとまって数週間取る必要はありません。必要であれば、毎週半日とか、一日とか、例えば家族を病院に連れていくために休みを取ることができ、休みの合計が一年に12週間以内であれば問題はないのです。

結婚していないパートナーなども増えているため、雇用主としては、FMLAをどこまで認めるかを再検討する必要もあると思います。

休暇の問題だけではない、本人が精神的に疲れている、などの場合は、もちろん会社が契約している保険会社で精神的なカウンセリングをカバーできるかも確認することが必要です。

介護につく人が増えている以上、雇用主としては早めに対策をたてておきましょう。

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