共同親権と給料差し押さえ命令

2024年4月現在、日本でも共同親権が論議されていますね。

そもそも「親権」とは,

「子どもの利益のために,監護・教育を行ったり,子の財産を管理したりする権限であり義務であるといわれています。 親権は子どもの利益のために行使することとされています。 父母の婚姻中は父母の双方が親権者とされており,父母が共同して親権を行使することとされています。」

そして、離婚する際には、日本では親権者は父母どちらかに定める必要があります。親権を持った方の親は、

「子どもの監護・教育に関する事項(進学,医療等)や,財産に関する事項について」決定することができます。

共同親権というのは、離婚後も元夫婦がお互いに監護・教育などに責任をもって決める権利を持つということです。
(参考文献:「親権とは何ですか。」法務省)

米国では、1980年代にはすでにほぼすべての州で共同親権の制度が始まっています。ただ、忘れてはいけないことは、時を同じくして、米国では、養育費の支払いを給料から天引きする制度が始まりました。各州の社会福祉局は、子供の養育費の監督・管理を行っており、必要があれば雇用者には「チャイルド・サポート」の給料差し押さえの通知が届きます。

(参考文献:”Child support enforcement” )

日本では、養育費を受け取れていない元妻または夫がたくさんおり、母子家庭の約57%が、父子家庭の約86%が、離婚をしてから一度も養育費を受け取っていないそうです。(参考文献:「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」厚生労働省)

個人的には、子供の利益を最優先に考えるのであれば、離婚した親権を持っていない親から養育費を取り立てる制度を強化すべき、とは思いますが、制度を作るのは並大抵のことでないのはわかります。

米国では、子供の養育費だけではなく、負債がある従業員にたいして、裁判所から給料差し押さえ命令(Garnishment)が届く場合があります。ローンで買った車の未払い金、慰謝料、など内容はいろいろあると思います。

(参考文献:”Garnishment” US Department of Labor)

州によって給料を差し押さえられる上限はありますが、私の住んでいるイリノイ州では一週間に税引前の給料総額の15%ですが、差し押さえの中に子供の養育費が含まれている場合には、連邦法で最高60%まで差し押さえが可能です。

(参考文献:”Illinois Wage Garnishment Laws”)

雇用主として給料差し押さえ命令(Garnishment)の通知を受け取られた場合には、速やかに従業員の給料から一定額の差し押さえをすることが必要です。給料差し押さえをするにあたり、雇用主にはもちろん時間も経費も負担がかかります。しかし、それを理由に従業員を解雇することは法律で禁じられていますので、ご注意ください。

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