リモート業務の継続について

世界的にコロナはずいぶん落ち着いてきたようですね。日本でも入国のために72時間以内に受けるPCR検査は必要なくなりましたし、だんだん旅行者も増えてきたようです。私の住んでいるイリノイ州では病院など一部の場所を除き、マスク着用義務もなくなりました。

会社の業務もだんだん通常に戻ってきて、お客様の間では従業員をコロナ以前と同じ「通勤に戻す(した)」とおっしゃっている方もたくさんいらっしゃいます。

もちろん、飛行機のパイロットとか、歯医者さんとか、リモート勤務が無理な仕事もありますが、リモート勤務が可能な仕事でも、ハイブリッド勤務ですら認めない、としている会社さんもあります。

リモート勤務を全く認めない理由が「自分の会社はそこまでオンライン化が進んでいない」「職種によってはオンライン勤務が無理なので、一部の従業員のみオンライン勤務を認める訳にはいかない」「生産性が下がる」などとおっしゃっています。

まず、ご自分の会社がそこまでオンライン化が進んでいない、と思うのであれば、良い機会なのでオンライン化を進めたらいかがですか?コロナ禍でリモート勤務が一気に進んだのは事実ですが、コンピューター化が進んできた今、コロナがなくてもオンライン化がはどんどん進んだと思いますし、これからも進んで行くと思います。

同じ会社の中で、リモート勤務を認める仕事と認めない仕事があるのはまずいのでしょうか?そもそも、仕事によってジョブディスクリプションも、要求されるスキルも、バックグランドも異なります。もちろん、対価として支払われているお給料も違います。同じ会社内だからと言って、リモート勤務が可能な職種まで全員一律に通勤させる必要はないと思います。

では、リモート勤務だと生産性は下がるのでしょうか?

ズバリ、生産性は29%上がる、という調査があります。ただ、50歳代-60歳代の管理職は「生産性が下がる」と思いこんでいる人が多いそうです。50歳代であるイーロン・マスク氏もテスラとスペースXの従業員を通勤に戻す、と言っています。

リモート勤務をしている人の方が病欠も少ないし、生産性が上がる、と言われても、管理職の立場からすると、自分の目の前で仕事をしていない人を信用できない、年末の評価をどういうように付ければ良いかわからない、ということもあるようです。毎日、始業時間より早く出社して、終業時間よりも遅くまで仕事をしている従業員が有能な従業員で生産性も高い、と思い込んでいる管理職の方は多いのだと思います。

(参考文献:”Workers Are Less Productive Working Remotely (At Least That’s What Their Bosses Think” by Dr. Gleb Tsipursky, November 3, 2022, Forbes)

弊社に仕事を探しに来る方の中には、「上司が通勤に戻すと言っているので転職したい」とおっしゃっている方も一定数いらっしゃいます。リモート勤務を認めないがために、従業員がどんどん辞めてしまっては生産性以前の問題で仕事が回らなくなります。会社全体一律に通勤に戻さず、できる職種からリモート(ハイブリッド)勤務を認めていけばいかがでしょうか? ハイブリッド勤務を推進すれば、オフィススペースが今までより減って、経費の節約にもなります。

また、今まで行っていた人事評価の方法を変更する、ということも考えてはいかがでしょうか? 今までの人事評価のやり方がリモート勤務に対応していない可能性もあります。

12月に人事評価と新年の賃金改定を行う予定であれば、引き続きリモート(ハイブリッド)勤務を認めるのと交換条件で、賃金を据え置きにするとか、賃上げ率を抑える、という手もあります。従業員の立場からしても、ガソリン代と通勤時間の節約になるため、昇給が少なくてもリモート(ハイブリッド)勤務を続けたい、という人がいると思います。

コロナが収まったからと言って、コロナ前の時代にすべて戻る必要はありません。この機会に新しい時代に向かって前進すれば良いと思います。

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弊社は人材紹介・派遣だけではなく、人事コンサルタントも行っています。ご質問などございましたら、武本粧紀子 (stakemoto@paschgo.com 847-995-1705) までお問い合わせ下さい。

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