ホリデー(祝祭日)は一斉休暇ではないの?
パシフィック・アドバイザリー・サービス
代表取締役社長
武本 粧紀子 氏
日本では祝祭日は基本的には日本全国、お役所も、一般企業も、学校もお休みですね。おまけに、私が日本に住んでいた頃にはなかった「海の日」「山の日」もでき、現在では全部で16日あるそうです。フルタイムの従業員を月給で雇う日本では、当然のことながらこの祝祭日は有給ですね。
アメリカで学生の頃、アメリカ人の友達に「テレビで今日も『東京証券取引場は祝日だから休み』と言っていたけど、日本ではいったい何日祝日があるの?」といわれ、働きバチの国からアメリカに来た、と思っていた私はとても意外に感じたことを覚えています。
では、アメリカでは、平均で何日有給の祝祭日があるでしょうか? 答えは2022年8月現在、7.6日(約8日)だそうです。(参考文献:”Paid Holiday Statistics [2022]: Average Paid Holidays in the United States”)
祝祭日を有給とするのはあくまで会社のベネフィットであり、法律で有給と決まっている訳ではありません。また、慣例として、パートタイムの従業員にはベネフィットがつきませんから、有給の祝祭日があるのはフルタイムの従業員だけです。
郵便局やお役所は別として、一般企業は自分達でどの祝祭日を会社の有給祝祭日にするか決める必要があります。州として、学校としても独自で祝祭日を決めています。
例えば、子供が小さい時に、「プレジデント・デー」に学校も仕事もお休みだったため、イリノイ州に住んでいた私たちはお隣のウィスコンシン州にスキーに行きました。そこでわかったことは、ウィスコンシン州ではプレジデント・デーは祝祭日ではない、ということでした。「ウィスコンシン州からは歴代に大統領がでていないので、プレジデント・デーを祝うことはしない」とのことです。
また、アメリカで最初に通っていた大学では、レイバー・デーには授業が普通にありました。「レイバー・デーは労働者の祝日なので、学生は関係ない」という考えでした。
米国で連邦で定められている祝祭日は以下の11日です。
元旦(New Year’s Day):1月1日
キング牧師の誕生日(Martin Luther King Jr. Day):1月の第3月曜日
ワシントン大統領誕生日(President Day):2月の第3月曜日
メモリアル・デー(Memorial Day):5月の最後の月曜日
ジューン・ティーンス独立記念日(Juneteenth):6月19日
米国独立記念日(Independence Day):7月4日
レイバー・デー(Labor Day):9月の最初の月曜日
コロンバス・デー(Columbus Day):10月の第2月曜日
退役軍人の日(Veteran’s Day):11月11日
感謝祭(Thanksgiving):11月の第4週木曜日
クリスマス(Christmas):12月25日
(参考文献:”Federal Holidays in USA 2022”)
逆に、グッド・フライデーも、感謝祭の翌日の金曜日も、連邦で定められている祝祭日ではありません。しかし、ご存じの通り、これらの日を有給で休みにする会社や授業のない学校は多いです。
お気づきの方も多いと思いますが、連邦で定められた祝祭日をすべて有給にしたところで11日です。日本の16日と比べると、5日も少ない、つまり一年間でお休みが月曜から金曜の一週間少ないのと同じです。
どの祝祭日を会社の祝祭日として選ぶかは、仕事の内容にもよりますし、地域にもよります。何日を有給祝祭日にするかはあくまでベネフィットであり、法律ではありません。これから会社の有給祝祭日を決める雇用主さんは、バケーションやシックデーなどの他のベネフィットとのバランスも考え、決められることをお勧めします。
お仕事を探されている方は、仕事のオファーが来たら、お給料だけでなく、ベネフィットの確認も忘れないでください。例えバケーションの日数が少なくでも、有給の祝祭日がたくさんあるのであれば、一年間の合計の有給で休める日数は多くなる可能性があります。
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