「お互いが合意すれば無給でインターン(インターンシップの学生さん)を雇っても良いのですか」

学生インターンは元々社会や職場での体験を積むために始まりました。米国では、日本のように4月1日から一斉に新卒として働き始める習慣はありません。そのため、大学に在学中、或いは、卒業後もインターンシップを探して、自ら経験を積んでいくのが一般的です。

弊社のお客様でも米国でインターンシップ制度を設けていらっしゃる雇用主さんもいらっしゃいます。

学生さんも「履歴書に書く項目が増える」ということで「無給でも構わないから雇って欲しい」と言ってくる場合もあります。社会人経験の少ない学生さんからすれば、例えオフィスのコピー取りでも、ファイルの手伝いでも、良い経験になるのはわかります。

しかし、雇用主さんは、無給のインターンを雇う場合には、「無給のインターンシップに値するプログラム」を用意する必要があります。安易に無給インターンを雇ってしまい、単に雑用をやらせていただけ、となると、後から働いた時間の給料を請求される恐れもありますし、もっと言えば、「騙されてただ働きをさせられた」と訴えられる恐れもあります。

無給のインターンシップに値することとは、「お互いに無給であることを理解していること」、「教育機関で提供するようなプログラムを用意していること」、「インターンとして働く人の大学の専攻と仕事が関係していること」、「インターンがインターンシップによって学業に多大な利益を受けることができること」などの項目をクリアする必要があります。(参考文献:”Intern Rights,” Law Office of Lori D. Ecker

また、例え無給のインターンシップに値するプログラムを用意したとしても、もし職場で怪我でもされたら、無給で職場にいた人間に労災は適用されるのか、という問題も出てきます。

どうしても無給のインターンシップを行いたい場合には、専門家に相談して、インターンシップのプログラムを作成しましょう。

インターンシップのプログラムを用意できないのであれば、インターンに例え最低賃金でも賃金を支払う必要があります。職場のペイロールの中にインターンの人もいれて、何かあった場合には労災でカバーできる状態にしておきましょう。当然、残業が発生したら、残業手当を支払う必要もありますし、セクシャル・ハラスメント・トレーニングなども社員と同様に受けさせる必要がでてきます。

雇用主さんが夏の間だけのインターンをペイロールに入れるのが難しい場合には、人材派遣会社に相談して、派遣社員として雇う、という方法もあります。

安易にインターンを無給で雇って、後になって問題が出てこない様に注意しましょう。

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