日本に住む米国籍の方の納税と国外財産調書
CDH会計事務所
米国公認会計士
武藤 登 氏
アメリカ国籍の人が日本に在留資格を取得して居住する場合の課税制度について詳しく説明します。
居住者・非居住者の判定基準
日本の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htmより抜粋)
複数の滞在地がある人の場合の居住者・非居住者の判定
基本的に住所又は居所の有無、そして租税条約による判定となります。滞在日数のみによって判断するものでないことから、外国に1年の半分(183日)以上滞在している場合であっても、日本の居住者となる場合があります。
1年の間に居住地を数か国にわたって転々と移動する、いわゆる「永遠の旅人(Perpetual Traveler, Permanent Traveler)」の場合であっても、その人の生活の本拠が日本にあれば、日本の居住者となります。
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2012.htmより抜粋)
課税対象の範囲
日本の居住者は、さらに「非永住者以外の居住者」と「非永住者」に分かれます。
(1)非永住者以外の居住者
非永住者以外の居住者は、所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、そのすべての所得に対して課税されます。一般的にはほとんどこのケースに該当します。
(2)非永住者
非永住者とは、居住者のうち日本国籍がなく、かつ、過去10年以内の間に日本国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下である個人をいいます。
非永住者は、所得税法に規定する国外で生じた所得(国外源泉所得)以外の所得と、国外源泉所得で日本国内において支払われ、または日本国内に送金されたものに対して課税されます。
(3)非居住者
非居住者は、日本国内において生じた所得(国内源泉所得)に限って課税されます。
(1)(2)(3)を表にまとめると次のようになります。
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2010.htmから抜粋)
非居住者に対する課税の仕組みは下記をご参照ください
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2873.htm
この他に住民票を登録した都道府県及び市町村で約10%の住民税が発生します。そして米国籍である限りはもちろん米国での確定申告も必要です。
国外財産調書
居住者(「非永住者」の方を除きます。)の方で、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する 方は、その国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、その年の翌年の3月15日までに、住所地等の所轄税務署長に提出しなければなりません。
<正当な理由のない国外財産調書の不提出等に対する罰則>
国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合又は国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあります。
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7456.htmより抜粋)
国外財産調書制度のあらましは下記をご参考ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/kokugai_zaisan/pdf/kaigaizaisan_tirashi.pdf
記事の無断転載を禁じます。
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