国際結婚カップルのための税金ガイド:最初のタックスリターンで選ぶべき申告ステータス

CDH会計事務所
国際税務コンサルタント
ハラー 基江 氏

4月のタックスシーズンがやってくると、多くの新婚カップルが初めての税金申告に直面します。特に国際結婚をしたカップルにとっては、グリーンカード保持者の花子さんとアメリカ人の夫マックスさんのように、デンマークでの夢のような新婚旅行から米国の税法の複雑さに立ち向かうまで、国際カップルに特有の門出があります。

花子さんとマックスさんは、レストラン巡りという共通の趣味を楽しむ結婚生活を始めました。彼らの門出は、世界一予約が取りにくいといわれるデンマーク・コペンハーゲンのNomaでの食事を目指す挑戦から始まりましたが、これはまもなく、彼らが直面する初の確定申告・タックスリターンの挑戦に対する前兆となりました。

米国では、夫婦にはいくつかの申告ステータスがあります:シングル、夫婦合算申告(Married Filing Jointly, MFJ)、夫婦別々申告(Married Filing Separately, MFS)、家計主(Head of Household, HOH)、適格なる未亡人(または夫)(Qualifying Widow(er) with Dependent Child, QW)。花子さんとマックスさんの場合、前年の12月31日に結婚していたので、夫婦合算申告か夫婦別々申告のどちらかを選ぶことになります。

国際結婚をした多くの夫婦は、合算申告を選ぶことが多いですが、この決定は慎重に行うべきです。各ステータスは、異なる利点と含意を提供し、特にファイナンスに対する考え方や国際資産が多様な夫婦にとっては重要です。

夫婦合算申告は、通常、より有利な税率と税ブラケットのための高い所得閾値によって、節税につながる可能性があります。また、別々に申告する場合には利用できない様々な控除やクレジットを申請できます。しかし、合算申告では、両方の配偶者が税申告書の内容に対して共同の全責任を負います。

一方、別々申告は、家計を別々にしておきたい夫婦や、一方の配偶者に多額の医療費、雑損控除、潜在的な納税義務がある場合に魅力的かもしれません。また、結婚して間もなく、お互いの資産について話す機会がなかったなどの経緯で配偶者に米国外の金融口座を開示することをためらっていた花子さんのように、金銭的なプライバシーを守りたい人にとっても、このステータスは有益かもしれません。

国際カップルの場合、申告ステータスの選択は、全世界の所得や資産を考慮する必要があり、さらに複雑になります。米国は、その居住者と市民に対して全世界の所得に対して課税するため、合算申告をする際には、外国の銀行口座や資産を全て申告する必要があります。 

決定を下す前に、夫婦はお互いの財務状況についてオープンに話し合うことが重要です。特に、花子さんはこの瞬間を、マックスさんと初めてオープンに対話する良い機会だと思いました。ちょうど行ってみたいと思っていたレストランがあったんだわと思った花子さんは、自分たちの共通の趣味がこの挑戦を乗り越えるツールになるのではと気づきます。このアプローチは税申告ステータスについての決定だけでなく、二人の将来設計や金銭的な透明性や信頼を促進することになるし、二人の絆を深めることにもなると花子さんには思えました。

国際結婚カップルは、どの申告ステータスが最適かを選定する時に注意深く検討すべきです。国際税務の微妙な違いを理解している税務の専門家に相談を求めることが賢明です。専門家の知見は、花子さんとマックスさんのようなカップルにとって、自分たちの特定の環境にぴったり合う選択をするための大きな支援となります。共に人生を歩む中で、財務状況を適切に把握し管理していくことが、芯のある長続きする関係を築くための重要な要素になるでしょう。

以上

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