ソーシャル・セキュリティー(年金)には年齢制限があるの?
パシフィック・アドバイザリー・サービス
代表取締役社長
武本 粧紀子
アメリカのソーシャル・セキュリティーとは、国と企業が老後資金を積み立てている、年金制度です。アメリカには、企業年金であるペンション、個人年金である401Kもありますが、ソーシャル・セキュリティーは、日本で考えると、国民年金と厚生年金を足したようなものです。
ソーシャル・セキュリティーは、雇用者と従業員が給料から一定の割合を半々負担して積み立てをしています。2025年2月現在、双方のレートは給料の6.2%です。一年の四半期(3ヶ月)を40回、つまり、累計で10年アメリカで働いて、ソーシャル・セキュリティー税を支払ってさえいれば、受給年齢に達すれば支払った額に応じて年金を受け取ることは可能です。ソーシャル・セキュリティーと一緒にメディケア(高齢者医療保険)の掛け金も収める必要があり、こちらは双方1.45%です。(参考文献:Topic no. 751, Social Security and Medicare withholding rates, IRS)
因みに、自営業の場合にも同様のレートでありますが、当然ながら自分ですべて収めることになります。(合計15.3%、ソーシャル・セキュリティー12.4%およびメディケア2.9%)(参考文献:Self-employment tax (Social Security and Medicare taxes).
一年の四半期(3ヶ月)を40回、つまり、累計で10年アメリカで働いて、ソーシャル・セキュリティー税を支払ってさえいれば、受給年齢に達すれば支払った額に応じて年金を受け取ることは可能です。
日本の公的年金は、20歳から60歳未満の全ての国民が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社員や公務員などが加入する「厚生年金」があります。国民年金は、保険料を納めた期間などに応じて計算された年金を受け取ることができます。また、厚生年金は、保険料を納めた期間と働いていた時の賃金に応じて計算された年金を、国民年金に上乗せして受け取ることができます。何等かの理由で納められなかった期間も含め(海外に在住の時期もこのひとつ)、10年以上掛け金を納めた場合には、納めた金額に応じて、受給開始年齢に達すると年金を受け取ることが可能になります。(参考文献:「厚生年金と国民年金のしくみ」厚生労働省 令和6年)
このように言うと、米国と日本の年金制度はほぼ同じ、と思われるかもしれません。ただ、決定的に違うのが、日本は国民年金の加入可能な年齢が「60歳まで」ということです。多少の例外はありますが、それでも65歳になった時点で、「65歳になったときに加入期間が10年未満の方は年金を受給できません。」 (参考文献:「厚生年金の資格期間が10年未満の場合 – 受給できるのかを解説」 Money Forward クラウド給与)
アメリカのソーシャル・セキュリティー年金には、加入可能な年齢も、納め終わる上限の年齢もありません。一年の四半期(3ヶ月)を40回、つまり、累計で10年アメリカで働いてソーシャル・セキュリティー年金の掛け金を納めさえすれば、受給資格があります。極端な話、62歳から働き始め、72歳まで10年間働けば受給資格はあります。
40クオーター収め終わっていない方は、何歳になっても遅すぎることはありません。まず雇用主を探しましょう。みつからない場合には、自営業でオンラインショップ、家事代行サービスなど商売を始めて、税金はもちろん、ソーシャル・セキュリティー年金の掛け金を納める、という方法もあります。
なお、日本の年金を受給したい方はくれぐれも年齢制限をお忘れなく。記事の無断転載を禁じます。
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